手漉き和紙のような刷毛目がしっかりと現れ、職人による手作り感や温もりが伝わって来るような和紙です。長い繊維の原料を贅沢に使用することで、嵩高で厚みがあり、しなやかで柔らかな仕上がりになっています。

撫でるとしっかりと凹凸を感じるほどの肌目なのですが、ペン先が引っかかるような感じはまったくありません。刷毛目の凹凸をペン先が乗り越えていくというよりも、踏んでいくような感覚。手で触れた感触以上に、ペン先が進む時に受け取る刷毛目の感触は柔らかく感じられます。そのため、筆記の手応えは、平滑度が高い紙面に書いていく感触とあまり変わりがありません。まさに「柔らかい」という印象の書き味です。

ボールペン、水性ペン、万年筆のいずれでも心地よくなめらかに筆を運ぶことができる紙です。和紙の特性上インクをよく吸ってくれるだけに、インクの種類によっては、多少のにじみが生じることがあります。しかしながら、画像でご確認いただけるようにほとんど気にならないレベルです。したがいまして、店主としてはやはり水性インクをお薦めしたいと思います。この味わいがある刷毛目の和紙には、繊細な水性インクの文字が美しく映えると思います。

裏抜けに関しては、インクをよく吸う割には頑張って持ちこたえています。

スペックの高さというよりも、独特の風合いと書き心地の良さ、そして書き上げた時の美しさ、そんな観点から選んでいただきたい個性派におすすめの紙です。